(平成23年12月更新)

 


平成23年度補正予算と24年度厚労省概算要求
23年度三次補正で基礎年金財源確保 24年度予算で年金・医療28兆円要求

東日本大震災の復興支援や被災地の復興・円高対応のための雇用対策などを柱とする平成23年度第三次補正予算は平成23年11月21日に成立しました。一次補正で震災復興に転用された基礎年金の国庫負担割合を2分の1に維持するための財源も三次補正で確保されることになりました。

また、厚生労働省は平成24年度予算概算要求を平成23年9月30日、財務省に提出。医療・年金等の社会保障費については高齢化等に伴う自然増分が全額確保されています。


●平成24年度厚生労働省予算概算要求の主要事項(年金・医療・介護関係)

項目 主要事項 平成23年度
予算額
平成24年度
要求額
信頼できる年金制度に向けて

1.年金記録問題への取組

1,113億円 1,073億円

2.日本年金機構が行う公的年金事業に関する業務運営

3,411億円 3,452億円

3.持続可能で安心できる年金制度の運営

10兆3,755億円 10兆6,743億円
安心で質の高い医療・介護サービスの安定的な提供

1.安定的で持続可能な医療保険制度の運営の確保

9兆8,744億円 10兆3,519億円

2.医療提供体制の機能強化

613億円 610億円

3.在宅医療・介護の推進

1.1億円 127億円

4.地域包括ケアの推進

28億円 43億円

5.安心で質の高い介護サービスの確保

2兆2,924億円 2兆4,170億円

6.革新的な医薬品・医療機器の開発促進

211億円 370億円

23年度の2分の1維持は復興債で財源確保

現在、基礎年金の給付額の半分は保険料で賄われ、残りの半分が国庫(税金)負担とされています。しかし、国庫負担部分でも恒常的に財源が確保されているのは36.5%分で、それを差し引いた分は、これまで臨時財源が充てられてきました(下図参照)。

 23年度は、当初予算では独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備機構特例業務勘定の利益剰余金などを臨時財源として充てることになりました。しかし、その後に起こった東日本大震災により、被災地の復興支援を目的とした第一次補正予算において、国庫負担割合引き上げの臨時財源は、復興財源に転用されることになりました(下図参照)。

そうしたことから、2分の1への引き上げの財源は、第三次補正予算で対応することとなりました。その結果、東日本大震災の復興に必要な資金を調達するために発行される復興債で確保されることになります。

 

図●平成23年度基礎年金国庫負担分の財源について

《平成23年度の基礎年金の
給付財源の内訳》

《国庫負担割合1/2のための
財源決定の経緯》

(保険料財源分)
50%

平成23年度予算
臨時財源として@独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備機構特例業務勘定の利益剰余金(1.2兆円)A財政投融資特別会計財政融資資金勘定の積立金・剰余金(1.1兆円)B外国為替資金特別会計の剰余金(0.2兆円)―から繰り入れ

(恒常的に確保されている国庫負担分との差額分)
13.5%(2.5兆円)

平成23年度第一次補正予算
上記繰り入れ分を復興財源に転用

(恒常的に確保されている国庫負担分)36.5%

平成23年度第三次補正予算
復興債で基礎年金国庫負担割合1/2のための財源を確保※
※資金調達のための復興債を発行するための復興財源確保法案は現在、国会で審議中。

厚労省概算要求額は前年度比4.3%増の29兆5882億円

厚労省が平成23年9月30日、財務省に提出した24年度予算概算要求額は前年度当初予算額よりも4.3%増の29兆5882億円となっています(下表参照)。そのうち、すでに政府の方針で、高齢化等に伴う自然増分のl兆1600億円全額が認められている年金・医療等の経費は28兆3512億円(対前年度当初予算4.3%増)を計上。厚労省概算要求額全体の95.8%を占めています。


●平成24年度厚生労働省予算概算要求(一般会計)

  平成23年度
予算額
平成24年度
要求額
増減額 増減率
  一般会計 28兆3,767億円 29兆5,882億円 1兆2,114億円 4.3%
うち年金・医療等の経費 27兆1,953億円 28兆3,512億円 1兆1,559億円 4.3%

24年度は税制抜本改革による財源で2分の1を維持

年金関係では、信頼できる年金制度に向けて引き続き年金記録問題に取り組んでいきます。年金受給者の紙台帳等とコンピュータ上の年金記録の突き合わせを行うとともに、その結果をお知らせしていきます。これまでの年金記録の解明作業によっても持ち主がわからない記録については、インターネットで検索できるようにします。

また、国民年金の適用・保険料収納対策、厚生年金の未適用事業所対策や保険料徴収対策を着実に進めるとともに、厚生年金基金の加入員記録と厚生年金の被保険者記録との突き合わせ等記録問題解決に向けた取り組みを行っていく、としています。

日本年金機構でも年金記録問題の解決に向けた取り組みを引き続き促進していくとともに、将来の無年金・低年金者の発生を防止するための後納制度の円滑な実施、サービスの質のさらなる向上や相談体制の拡充を行い、効率的かつ公正透明な事業運営に取り組んでいきます。

また、持続可能で安心できる年金制度を運営していくため、基礎年金の国庫負担割合の2分の1を確保する財源について、23年度までは臨時財源を活用してきましたが、平成24年度は、税制抜本改革により確保される財源を活用するとして10兆6743億円を要求しています。これは法律の規定で、24年度から税制抜本改革によって安定財源が確保される年度の前年度までは、税制抜本改革により確保される財源を活用する、とされているからです。


医療・介護では地域包括ケアシステムを整備

医療・介護関係では、在宅医療・介護を支える人材の育成や基盤の整備とともに、地域住民が住み慣れた地域で継続的・一体的にサービスを受けることができる体制(地域包括ケアシステム)を整備していきます。

そのほか、医師等の確保対策をはじめとした地域医療確保対策、安定的な介護保険制度の運営の確保、地域での介護基盤の整備などにより、安心で質の高い医療・介護サービスを安定的に提供していきます。


高齢者の生活安定の見地から受給者の税負担のあり方を検討

平成24年度税制改正要望で厚労省は公的年金関係において@公的年金等所得の所得区分上の見直しA年金受給者の税負担―について要望しています。

現在、約3700万人が公的年金受給者として年金所得を得て、そのうちの約6割が年金所得のみで生活しているにもかかわらず、年金所得の税法上の位置づけが明確にされずに、雑所得とされるのは不合理であることから、税法上の所得の一類型として新たに「年金所得」を設けることを求めています。

また、全年連では平成23年9月に小宮山洋子厚生労働大臣に提出した要望書のなかで、「高齢者に対する課税が強化されないよう特別な措置」を求めてきましたが、厚労省の税制改正要望にもそうした全年連の要望が反映され、高齢者の生活の安定を図る見地から、老年者控除の復活をはじめ、年金受給者の税負担のあり方について検討を行うこと、としています。



平成21年国民健康・栄養調査の結果が公表される

厚生労働省は平成23年11月11日、「平成21年国民健康・栄養調査」の結果を公表しました。

それによると、自分の歯が20歯以上ある人は70歳以上で29.6%となり、前回調査(平成16年)に比べ1ポイント多くなっています。

また、過去1年間に歯科健診を受けたことがある人は60歳代で41.4%、70歳以上では31%となりました。運動習慣のある人は男性で60歳代が41.9%、70歳以上が39.9%。女性では60歳代が41.3%、70歳以上が30.7%。習慣的に喫煙している人は男性で60歳代が33.7%、70歳以上が19.3%。女性では60歳代が7.4%、70歳以上が4.9%。飲酒習慣については男性が60歳代で43.4%、70歳以上では25.0%。女性では60歳代が4.8%、70歳以上が1.4%となっています。



平成23年高年齢者の雇用状況 雇用確保実施企業は95.7%

高年齢雇用安定法では、高年齢者を65歳まで雇用するため「定年の廃止」「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかの高年齢者雇用確保措置の実施を企業に義務づけていますが、厚生労働省は平成23年10月12日に平成23年度の実施状況を公表しました。

それによると、実施済みの企業は95.7%(前年比0.9ポイント減少)。希望者全員が65歳まで働ける企業は47.9%(同1.7ポイント上昇)。70歳まで働ける企業は17.6%(同0.5ポイント上昇)となりました。

また、過去1年間に定年を迎えた43万4831人のうち、継続雇用された人は32万71人(73.6%)、継続雇用を希望しなかった人は10万7137人(24.6%)、基準に該当せずに離職した人は7623人(1.8%)でした。



平成21年度国民医療費 過去最高の36兆67億円

厚生労働省は平成23年9月29日、平成21年度の国民医療費の推計結果を公表しました。

それによると、21年度の国民医療費は36兆67億円(前年度比3.4%増)、人口1人当たりでは28万2400円で、いずれも過去最高となりました。

一方、年齢別に見ると、65歳以上は19兆9479億円で全体の55.4%を占めています。1人当たりで見ると、65歳未満が16万3000円であるのに対して、65歳以上は68万7700円となっています。



社会保障の教育推進に関する検討会が発足

厚生労働省に社会保障の教育推進に関する検討会が設置され、平成23年10月11日、初会合が開かれました。

同検討会では、社会保障に関して小中高それぞれのレベルで理解してもらうべき内容・知識の整理や、教育現場で役に立つ副教材(パンフレット)を作成。社会保障に関する教育推進の機運を盛り上げていくとともに、継続的・全国的に社会保障の教育が推進される環境づくりに役立てていきます。



社会保障の地方単独事業は6兆2210億円

総務省は平成23年11月10日、地方が独自に行う社会保険関係事業を調査した集計結果をまとめ、公表しました。

それによると、地方が負担する社会保障関係の事業は都道府県が1兆5485億円、市区町村が4兆6725億円の合計6兆2210億円となりました。内訳では、医療が最も多く2兆6978億円、次いで子ども・子育てが1兆7200億円となりました。

なお、本調査は社会保障・税一体改革において地方単独事業を含む社会保障給付の全体像と費用推計を整理するための基礎資料として実施されました。